「書く仕事がしたい」
そこまでの覚悟は、まだないな…
ストレートな題名のこの本を見ると迷いが生じて、気になりつつもずっとスルーしていました。
読み終わった今では、なぜ早く読まなかったのか~~と思っています。
この本は、書く仕事(ライター)が急にリアルになる本です。
表紙にあるように、文章術ではなく、書く以外の生活が網羅されています。
また、書く仕事のみならず、自分の力を駆使して生きていくことを決めた人のためにもなります。フリーランスの人や、広義では働く姿勢として、社会人の人にも十分に役立ちます。
「書く」を、自分のやりたいと思っていることに変換して読むのもいいかもしれません。
章ごとの印象に残った点
書く仕事がしたいは、プロローグ+5つの章+エピローグで構成されています。
- chapter1:書く仕事を知りたい
書く仕事の種類をはじめ、向いている人、日々の生活面、金銭面まで、
ライターになったらどんな生活が待っているのかを教えてくれます。
話が始まる前に、著者が行っていたライタースクールのエピソードがあるのですが、
書くことを大事にするあまり一歩を踏み出せない友人の姿に、共感なのかもどかしさなのか、何とも言えない気持ちが沸いてきます。
- chapter2:デビューするまでのこと
ライターになるための事前準備。パソコン、名刺、メールアドレスあたりは想像がついていましたが、
筆名は想定外でした。著者は2度筆名を変えていて、かなり苦い経験をしたそうです。
あのエピソードを読むと、筆名は生涯寄り添うつもりで決めよう。と思いました。
また、自分の強みを用意するために、
・早く書くことを意識して目指す媒体の記事を丸写しして文のリズムを覚えた
・書き直しを少なくするために、編集者と軽く擦り合わせてゴールを共有して効率アップを図った
このあたりの試行錯誤は、どんな仕事にも生きてくる部分だと思い、付箋に手が伸びました。
- chapter3:書く仕事に必要な技術
3章からは具体的な仕事内容に入っていきます。著者は取材ライターでもあり、インタビューでの心構えについてしっかり目に書かれています。
記事を書く上で、以下の3点が印象的でした。
・どんな表現が好まれるか、相場感を養う
・事前準備の大切さ(新作書籍のインタビューだったら読んでから行く、当たり前なようでできていない人が多いらしい)
・平均点以上の文章を書くために一文を短くする
- chapter4:書く仕事に必要なマインド
ライターのメンタル面に注目して、健やかに書き続ける方法を探っています。
具体的には、人間関係、スケジュール(タスク)管理、金銭面について…これは全職種にいえることですね。
ライター特有のものとしては、disコメント(匿名の批判、いわゆる〇ソリプ)に対する考え方。
著者はdisコメントを因数分解して分析していくという斬新な手法で、批判も糧にしてしまうところがかっこよくて、自分も真似することにしました。
- chapter5:とどまらずに伸びていくこと
最後は少し視点が変わります。雑誌やインタビュー、書籍を中心に活躍してきた著者が、コラムなども手掛けることになった話に触れつつ、年齢や生活に合った働き方について考えていきます。
コラムやエッセイでのポイントは切り口を変えること。
視座(どこからみるか)と視点(どこをみるか)
順接(AだからB)と逆説(AなのにB)
を組み合わせてオリジナルの表現をしていく、というところがわくわくしました。
(単語だけだとわかりにくいですが、本の中でかみ砕いて説明くれています)
まとめ
どの章もためになることばかり。あっという間に5章読み終えました。
が、満足感を感じながら、エピローグに入ったところで気持ちが一変しました。
そこには、こうかいてありました。
書くとは世界を狭くするということ
書く仕事がしたい(佐藤友美著)エピローグより
恥ずかしいことかもしれませんが、書く事で思考が固まってしまう事なんて考えたことがなかった。
自分がものを書く時は、もやがかかっている視界が鮮明になるようなイメージで、良いことだと信じ込んでいた。何かについて書いた時、そこに書かなかったことは記憶がすごい勢いで薄れていくこと…あるかもしれない。いやあるな。
そう思った時に冷や水を浴びたような気持ちになりました。
そして書く時は、心してかからねばならないと、心構えがもらえました。
全体でみると、正直まだ人生経験が浅くて、ピンとこない部分もありました。
何度も何度も読み込みんで染みこませていきます。
人が長い時間をかけて気持ちを注いできた仕事のようすは、いつ触れても心に響きます。
書く仕事がしたい。ライター志望じゃなくても、是非読んでみてください。
ロアでした。
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